三谷ラヴ(はぁとてんこもり)

昨日も新選組!は面白かった。
なんでこう面白いのかちょっとだけ考えた。
人を見る目がユーモラスで多面的なのは三谷作品の特徴だと思う、結局は人物の描き方が好きか嫌いかでそのドラマを楽しめるか否かが決まる気がする。
もちろんそれだけではなくて台詞がツボにはまるとか細部へのこだわりが笑えるとか、カット割りや映像がが斬新でひきこまれるとか他にもドラマを好きになる要素はあるのだが。

新選組!の場合は画面の工夫は特に感じないが(なんせ大河ですからそのへんは生真面目なのかも)、登場人物にみんなちゃんと厚みがあるのがいい。
ただ「いい人」「悪い人」ではなく「いい人だけど融通がきかない」「悪いヤツだけどカッコイイ」「だらしなくて情けなくても憎めない」「切れ者のくせに弱点がある」「腹黒いけど人情がある」「人の顔色ばかり見ているが火事場の馬鹿力を出せる」等々…。

特に今「王様のレストラン」と平行して見ているからかもしれないが三谷氏の描く人たち(というかその目線の温かさ)に心底メロメロだ。
お正月の古畑任三郎にもこんな台詞があった。
「死んでいい人間なんて一人もいないんですよ、閣下」

これに尽きるよな。
この目線があればこそ幕末の動乱に巻き込まれていく人達を一人一人丁寧に愛情深く描けるのだろうし、レストランで働く(ある意味で弱点と欠点だらけの)人達を生き生きとキュートに見せられたのだろう。
照れ隠しにふざけたり遊んだりが多いところもアタシャ大好きだ〜。
そのふざけ方遊び方がクドカンとは当然違うんだが、どっちも大好きだ〜ッ!
NHK大河だし、ドラマとはいえなんといっても史実が背景にあるのだし、新選組!はこれまでの三谷作品よりもシリアスなシーンが今後ますます増えるだろうが、ここまでじっくりと人となりを見せてくれたからこの魅力は消えないはずだ。
素晴らしいっ!(伝説のギャルソン口調でひとつ…)

死んでいい人間なんて。
殺していい人間なんて。
いるはずないもんな。
そんな当たり前のことがぶれてきているこの頃だからこそ。

素晴らしいっ!
視聴率なんて気にするなっ!
だけど多くの人に見て欲しいなぁと関係者でもないのに思ってもみたり。