ベランダの水仙

去年はとうとう一輪も咲かなかったベランダの水仙が、今年は小さなプランターでたくさんの蕾を付けている。

姉の誕生日(今月17日)に一輪パッと満開になり、三日後の私の誕生日にもう一輪…最初の一輪の隣に寄り添うように大きく花が開いた。
そして今日(三年前に亡くなった母の誕生日)に、別の茎からもう一輪の黄色い水仙がパッチリ咲いた。
千葉には珍しい積雪の翌日、寒い寒い朝だというのに。

それは本当に偶然のことで、他にも蕾はいくつもあるのだから「そんな感じ方」をしなければどうってことのない出来事だ。
でもついつい「そんな感じ方」をしてしまう。

もともとこの水仙はドラ(息子・仮名)が二年生のときに学校で育てた鉢を持ち帰ったもの。
それからずっとうちのベランダで律義に咲き続けていたのが、去年(茎と葉は立派に成長したのに)ひとつの蕾もつけなかったので、ちょっと調べてみたところ、プランターで数年経ったら別の鉢などに球根を分けたほうがいいと書いてあった。

そうなのねぇ、と頷いたくせにそれをしなかった…いやもう本当にズボラですいません!
(ただの言い訳ですけど去年の3月〜秋にかけて、インフル→震災→喘息→家族の心身に異常→地震で壊れた住宅廻りの大修繕…とえらいこっちゃな日々だったから…いやほんと、言い訳ですけど。しかもアカツクシ芹沢さんが産卵していったり、見慣れぬ山野草が咲いたり、ベランダの不思議が続いて土の中の球根にまで気がまわらなかったという…ヤレヤレなおはなし)

だから今年もきっとダメだな、可哀想な事をしたな…と思っていたのだ。
それが去年の12月あたりから緑の茎と葉がすーっと伸びて年明けには蕾がついていたので驚いた。
咲いていた年でももっと遅く(3月)にしか花をつけなかった水仙なので、遅咲きの種類?はたまた日照時間などの関係?と勝手に解釈していたのだが。

まぁそんなこともあるんだなぁと思っていたらばこの花の咲き方…ベランダの不思議が継続しているような気がしてなんとなく嬉しい。
イタズラ好きだった母の仕業、なんて思ってみるのも追悼のひとつかなぁなどと。

生きていたら喜寿になったはずの母。
来月17日の命日の頃には、もしかすると蕾がすべて開いて笑顔満開のフルボリューム水仙になっているかもしれない。