芥川賞

今年の芥川賞受賞作「猛スピードで母は」が掲載されている文芸春秋を買った。
久しぶりの読書だったせいもあるが、引き込まれて一気に読み終えた。
最初の方に「子供の間ではワーゲンを見ると幸福になるというジンクスが広まっていたが…」という文章があり、「そうそう、そんなジンクスあったなぁ」と懐かしくなった。
こういう小さな共感があると、その小説の世界に溶けこみやすくなる。

母子家庭を淡々と描いた作品で、いわゆる感動的な部分はほとんどないのだが好きなタッチだ。ざっと目を通した選評のひとつが私の気持ちにピッタリきた。
池澤夏樹さんの評で「この母と息子は・…(中略)最も鮮やかな印象を残した。その感じは、昔、好意を持ちながら疎遠になってしまった友人に似ている。」というもの。
うまいなぁ、この喩え!!
そう、確かにそんな感じ。
「息子」が母親や周囲の人・出来事に対して抱く感情や考え方は懐かしい。
多分自分が小学生から中学生になるあたりの気持ちとだぶるのだろう。
一方の「母親」は自分の母とはまったくだぶらないのだけれど。

それにしても作者が’72年生まれ!
当たり前の事だが、芥川賞の作家も年下になるんだねぇ。
高校野球の「お兄さん達」がいつのまにかうーんと年下になってしまったように。
今後、年下でショックを受けるものを予想すると、学校の先生・お医者さん・世界的指揮者あたりか?
芥川賞から随分話がそれた。まぁいいや、勝手気ままな日記なのだ、昔書かされた「読書感想文」とは違うもんね。(なぜかほくそえむ私。)
読書感想文といえば「先生に気に入られるように書く技」に気づいてから段々イヤになり、優等生的文章をやめて(多分その時私の中におかまキャラ・ミーコが生まれたんだな)パッタリ評価されなくなったっけ。
でも国語の先生に「アナタの読んだ本は面白そうだわね」と言われたのが一番嬉しかったのを覚えている。あの先生、多分買って読んだだろうな…・と確信したもんね。
あたしゃどっかのまわしもんかい?
文芸春秋のまわしもんではありません、念のため。