春の伊豆旅行(5)

(1)〜(4)からの続き。

【3月30日】

晴。伊東にはこの十年数え切れないほど訪れたのだが、まだまだ知らない場所があった。
その代表格が大室山。
もちろん山自体の姿は伊東にいれば目に入るし、ふもとにある「さくらの里」は知っていた。しかしリフトで山頂まで上がり、すり鉢状のハイキングコースを歩くのは今回が初めてだ。
リフトの斜面は急でちょっとお尻がムズムズする。
しかし眺めは抜群!富士山が雲の切れ間から見え隠れし、海岸線も一望できる。

風が強いことと、その眺望に驚きながらリフトを降りてゆっくりと歩き出す大トラ、ドラ、スミコ。
もらったリーフレットに書いてあったとおり「ぐるっと360°大パノラマ」である。
今までどうしてこんないいところに来なかったのだろうか?と思ったほど、景色も良いし気持ちが伸びやかになる。
「お鉢めぐり」と言われるハイキングコースの途中、持ってきた麦茶とさつま芋のお菓子で一服。
元気100倍になったドラはそのあともすべて自力で歩き、下りのリフトに乗る。
スキーは得意なくせに高所恐怖症気味の大トラが叫ぶ。
「こ、こ、こえ〜っ!!」
確かに下りは一層お尻ムズムズであった、何しろ足が宙ぶらりんのリフトで強風、しかも時々止まったりするのだ。
ここはしかし、ドラに恐怖心を植え付けてはいかんと思い、私はわざと平気なフリをしてみせた。
「うわぁ、楽し〜!」
それを真に受けたのかどうか定かではないが(ただのおサルかも)、ドラは喜んでマネをする。
「うわっ、たのしっ、こえっ!」

…うん、そうだね。それが正しいかもしれません。

この日帰ることにしていたので、その後はゆったりとしたスケジュール。
保養所(マンション)に戻り温泉に入ってうたたねしたり片付けものをしたり。
簡単に夕食を済ませて車に乗る。
首都高は年度末の工事渋滞でひどかったが、行きと違って喧嘩の余韻がない車内は平和。
なぜかガッチャマンの替え歌で「工事!工事!工事!あ〜年度末〜年度末〜」と歌いながら帰った平和ボケ&温泉に脳みそ浸かりすぎなワタクシ達でありました。

(完)