「仕立て屋の恋」と「恋のすれ違い」

このところ大将(夫)が超多忙で出張がちなので、主婦業手抜きにいよいよ拍車がかかっている。
空いた時間にせっせとビデオをみたり本を読んだり…そうよアタシは不良主婦。

開き直ったところで、この数日で味わった文化の香り(ふっ)をちょっとだけ記しておこう。

まずは映画「仕立て屋の恋」。

ルコントは「髪結いの亭主」を随分前に映画館で見たきり。
こちらもやはり、フランス映画らしい行間を持つ美しい映像だった。音楽もいい。
ストーリー自体はあまり好みではなかったのだが、最後のセリフが印象的で作品全体に効いてくる。
「君を少しも恨んではいないよ。ただ、とても切ないだけだ。」
そこにはエゴを乗り越えた慈悲深い愛情があってこちらも切なくなる。
こういうセリフがさらっと存在するからフランス映画はやめられない。(なんて言うほど見てないけど。)

お次は韓国人・呉 善花(オ ソンファ)さん著「恋のすれ違い」。

「スカートの風」の著者である呉さんの、韓国と日本の比較文化論のようなものだ。
「恋」をテーマにしているがそれだけではない、ものの考え方・表現の仕方まで踏みこんで日韓の違いをわかりやすく描いてくれている。
彼女のスタンスは非常に公平でバランスがよく読んでいて気持ちがいい。
どちらがいいとか悪いとかではなく、こんな風に違う、それはこういう理由ではないだろうか…と持論を展開しているので、こちらも素直に頷いたり時には唸ったりできる。
「スカートの風」の頃より更に日本に馴染んでいる彼女なので、随分と日本人的なものの見方をしているのも興味深い。

というわけで映画からも本からも、「異文化」を感じかつ考えさせられた。
海外に旅行するとその土地の人達と触れ合うことができる。
片言でもしゃべったり笑顔を見せ合ったりできればその国がぐっと親しいものになる。
ニュースなどでその地名を聞くとその人達の顔が浮かぶ。
そういう経験が増えれば増えるほど「違う場所で違う時間を過ごし違う発想をする人達」も「同じ星で同じ時代を生きる同じ生命体」だと思えるようになる、と思う。
外国に行けない時でも映画や本からその実感を得られるのよねー、うんうんうんうん…。