「HR」と「12人の優しい日本人」

本日は朝から雨降り。
ドラと積み木遊びをしつつ昨夜の「HR」と「12人の優しい日本人」を見た。
かたやシットコム、かたや映画。
時代も随分違うのだけど共通する味わいがある。

三谷作品すべてに通じる味わい、ユーモアとペーソス。
登場人物は滑稽でとぼけていたり、傲慢で自分勝手だったり、小心者のお調子者だったりなのに、キュートな部分が必ずある。

昨日のHRは爆笑ポイントには欠けたけど、見終わった後「あ〜いいお湯だった〜」という気分にさせてくれた。
家のお風呂にバブかなんか入れた小さな満足感に近いが。
(誉めとんのかケナしとんのか?)

「12人…」は、その後の三谷作品に登場する小道具や小さなエピソードがたくさんあり(例えば弁護士のフリをする俳優、居酒屋「大自然」、ドミソピザ等々…)それだけでも楽しい。
ストーリーもよく出来ているが、やはり人間の描き方に目が行く。

そして昨日の夕刊コラム(三谷幸喜のありふれた生活)の一節と重なるなぁと思いながら見た。
(HRの前説を担当する「号泣」さんたちについて。彼らをオーディションで選んだのは「愛嬌と度胸と上品さ」が決め手で、それは主演の香取さんにも通じる要素だ、とあった。)

多分三谷氏は、その要素に滅法弱いのだろう(笑)。
全部揃っていなくてもどれかがあれば、人間として魅力的だと感じるのでは。
愛嬌と度胸は比較的捉えやすいが、上品という要素は色々に解釈できる。

以前立川談志が「上品ってのはね、欲望に対して動作がスローモーなことだよ」と発言していた。
ナルホド!と膝を叩いたが、三谷氏の求める上品とは少し違う気がする。

「よく貧乏くじをひく」
「非を認められる」
「自分の醜さや弱さを自覚している」
…そんな要素まで含めているような気がしてならない。

洗練されていなくても、どちらかというとドンクサくても。

そういう「愛嬌か度胸か上品さ」を持った人間たちが、日常生活ではくたびれたり愚痴ったりしているのに、何かのキッカケでその美点を遺憾なく発揮する…それが三谷ワールド(だと私は思う)。

「12人…」もそんな作品。
家庭用のお風呂でバブ…じゃないな、これは。
名だたる温泉地の高級旅館でもなく…
気軽に泊まれる感じのいい宿で、でも源泉をちゃんとひいてます!沸かしでも循環でもありません!てな感じ。
(木村さん並みの分かりにくい喩え話?)