「ビタミンF」(重松清著・新潮文庫)を読んだ

たまには読書感想なんかも書いてみよう。

7月1日に文庫になった途端に買った「ビタミンF」は、読み始めた途端に読み終えた(笑)。
そのくらい読み易かったというわけだ。
読み易い…つまり文章のリズムがあり、テーマに興味が湧き、一定の感情移入ができて、押しつけがましくなく、オチ(とはいわないのか、結末のつけ方)にフム、と納得ができる…短編が7つ収まっている。
どれもこれもあまりパッとしない中年男性が主人公でどこにでもありそうな家族の話がメインになっている。
そしてどの物語も何らかの綻びが生じてそれをいかに修復していくか(その方法を探る)…ということがテーマになっている。でも決してスーパーウルトラ修復術が施されるわけではなく、劇的展開が御伽噺的ハッピーエンドをもたらすということもない。
ヤレヤレ…な状況から少しだけ開放される「気がする」結末が待っている。
ほの明るい光がみえる「気がする」展開が程よくて心地良い。
これは‘小説’だから作り物なのだが、当然その中にも‘現実’は含まれている。
自分が体験した‘現実’に近いものもあった。
だからこそ引き込まれてあっという間に読破したのだろう。

所々に唸ってしまうような表現があるのも魅力だ。
ほんのひとつ引用するならば…

‘あんなふうに思いきり暴れられたら気持ちいいだろうな、と思う。若いってのはいいな、とも。おとなは「キレる」わけにはいかない。おとなは「折れる」だ。ポキン、ポキン、と折れてしまう。’

さらに「後記」を読んでなるほど…と頷いた。(不精者なのでこれは引用しません、悪しからず)

困ったなぁ、また「著作を全部読みたい作家」が増えてしまった、ハハハ。

さぁさぁ明日は札幌スマコン初日っ!!
夏の扉」が開くのねっ♪見にいかれる皆様楽しんできてくださーい!
そしてスマによろしくぅ(爆)!!