カメレオンズ・リップ

ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出の「カメレオンズ・リップ」@シアターコクーン
キャストは堤真一深津絵里生瀬勝久犬山イヌコ山崎一余貴美子ら。

出てくる人物が嘘つきばかり、最初から煙に巻くこと夥しく。
前半部分は特に下らない嘘とこっけいな動きのオンパレードに笑いすぎて涙が出るほど。
前から2列目のほぼど真ん中という良席で芸達者な役者さん達をつぶさに観察(ああ贅沢!)。

ただ、内容的には今一つ。
無駄台詞が多いのは狙いなのだろうし下らないことを言い合うシーンは好みだからその点はよいのだが、何しろ人が死にすぎる。どっかの脚本家じゃあるまいし…。
‘大いなる嘘’である演劇空間であっても、私は暴力的なシーンが(そこに余程の説得力が無い限りは)嫌い。
しかもドナ(深津)が嘘つきになった原因が深く重たいものであるのも、この芝居の場合はバランスを悪くしているように感じた。
見終わった後の印象がばらばらになってしまう。
そこまで見越した上での演出なのかもしれないが。

主人公の抱える‘宿命’は匂わせる程度で、いっそのこともっとつき抜けたナンセンス喜劇にしたほうが想像の余地があったのではなかろうか。
逆に闇を浮かび上がらせたいのならば、冗長な前半をダイエットしたほうが効果的だったのでは?

なんて批判めいたことを書いておりますが、楽しかったんですよ。
何しろ本当に演技が巧い人が多くて長時間の芝居もあっという間だったし、最後には堤&深津ちゃんの生チュー(設定は姉弟だってのにかなり濃密、うっひょー♪)も至近距離で見られたし、早変わりにも驚かされた。熊のぬいぐるみを我が子の様に可愛がり話し掛けるガラ(犬山)もツボだった(ちょっとMr.ビーンまたはドラみたいだったから、笑)。

きちんと稽古されたものを生で観る喜びは大きい。
大将が仕事だったので、ドラはスマ友Cさんに預かっていただいて(感涙!)心置きなく非日常の数時間を過ごせた幸せを噛み締める。

ドラも‘斜めの関係’を楽しんでくれた。
遊び疲れて眠さもMAXで、かつ子供なりに母のもとから離れた緊張も多少は手伝って、再会してからは我侭放題の天邪鬼泣き叫びダメイヤ星人に豹変したことも許すよ、ドラ。
よく考えるとドラが先に不良母の我侭を許してくれたんだよな、ありがとう。
友とのランチデート付き観劇の休日、色んな人々に感謝して幕!