フジ子・へミングピアノリサイタル その1

クラシックコンサートなんて何年ぶりだろう…10年くらいか。
かつてはサントリーホールやカザルスホールなどに時折行っていたのだが、大将(夫・仮名)と縁ができてから全くその世界とは疎遠に。彼はアウトドア派なので、ホホホ。
それが珍しく、フジ子さんのピアノは生で聴いてみたいと言う。
数年前「たけしの誰でもピカソ」に出演されていたのを見ていたときのことだ。

その夢が昨日ようやく実現した。
ドラ(息子・仮名)を友人に預けて(ありがたいッ!)、映画キャッツ以来久しぶりのデートである。

プログラムはショパンラヴェルグリーグ、そしてリスト。
馴染み深い曲ばかりなのが嬉しい。
前半はショパンを7作、そのうちの「雨だれ」「幻想即興曲」が特に素晴らしかった。「革命」「英雄」は御本人も納得されていない様子の演奏だったのが残念だが、それをカバーして有り余るのが後半のリスト4作だった。
「ため息」「愛の夢」「主題と変奏」「ラ・カンパネラ」どれも鳥肌だち震えがくるほどの軽やかで優雅な絹織物の音色だったが、やはり「ラ・カンパネラ」は別格であった。
2階席2列目正面からステージのフジ子さんを見ていた私は遠近感を失い、彼女がピアノごと中空に浮いているように感じた。
スマライブとは違った意味でのトリップ体験である(ワタクシ誓って何もヤバイ薬はやっておりません、笑)。
あのラ・カンパネラを生で聴けて本当に良かった。

フジ子さん独特の(おそらく手作りの)衣装は決して豪華ではない。
しかしリストを奏でる彼女は二億円のピンクダイヤモンド(べッキャムがビクトリワに不倫のお詫びに贈るとか言われてるらしいっすよ〜アホくっさ〜)なんか及びもつかない高貴な輝きを放っていた。

彼女の演奏を聴きつつ私はなんとなく国家というものについて考えてしまった。
イラクでの人質事件をめぐる報道や人々の反応、政治家の発言。国旗国歌の取り扱い方。
自分なりに考えもあるし書きたいことも多々ある(けどなかなか真意が伝わるように書くのは難しい)一連の出来事について、彼女はどう受けとめているのか知りたくもなった。
国籍が無く壮絶な人生を過ごしてきた彼女にはきっと独自の目線があるはずだ。

…なんていうオノレの野暮な?思考の寄り道はこのへんにして演奏会における大将の様子なんぞも少し(って、そっちの方が野暮な話か、ハハ)…その2に続く。