「走れメルス」を観た

先日TVで見た「夜回り先生」のことや、スマ関連でも書きたいことがあるのだが。
今日は記憶が鮮明なうちに今年最初の観劇感想を少し。(ネタばれあり)

走れメルス〜少女の唇からはダイナマイト!」

野田秀樹作・演出・出演、深津絵里中村勘太郎小西真奈美河原雅彦古田新太ほか出演、シアターコクーンにて。

あらすじは書いてもワケワカメ…だと推察されるので割愛(すいません!)、悪しからず!

躍動し疾走する舞台、笑いと鏡言葉で溺れそうな楽しくてたまらない空間。
それなのに切ない。どうにも切ない。

それは自分がこの10年というもの、「あちら側」に愛情と情熱を注ぎ続けているからなのだろうか。
「あちら側」にいる人は「本当はいないって知ってるわ」(存在はするけれど自分が見ているその人たちは自分の妄想でデコレーションされている)と頭の軸ではわかっているからなんだろうか。
誰だって、自分の見たいようにしか見ることができない。
それ自体は切ないことというよりも逃れられない定めのようなものだけど。

歳をとっていくことの切なさ(と書こうとしたら刹那さと変換されて妙に感心した。そうだ刹那さでもあるんだよな)、虚像または偶像に傾倒する充実感には必ず喪失感を伴うことを再確認させられる切なさ。赤鬼でもモチーフになっていた「ここ」と「向こう」にまつわる幸と不幸が醸し出す切なさ。

そんなツボを刺激されてしまった。

本来野田さんが表現しようとしたものがどんなものだったのかはわからない。
深すぎて大きすぎて到底わかりきれない。だけどわからなくても感じるものが多ければいいんじゃないかと勝手に思っている。そう思わないとやってらんねぇや!って感じだ(苦笑)。
わかりやすいものがもてはやされる風潮の昨今、このわかりにくさに包まれた魅惑の世界は貴重、稀有、オオブラボー。

いやー面白かったなぁ!
年末に藤原竜也くんのロミジュリを自己都合により観られなくなって大いに残念だったが、年明けにメルスを(しかも極上席にて!)楽しめたので観劇欲は急速に十分に満たされた。
役者さんたちひとりひとりの感動的な迫力にも惹きつけられたし、野田さんの怪しく妖しい女装にもすっかりKOされた。
ああなんて素敵なの野田秀樹
今の日本にいて下さってありがとう野田秀樹

これでゆっくりレプリーク12月号と演劇ぶっく2月号を読めるー☆