「天保十二年のシェイクスピア」を観た その1

シアターコクーンにて。
作・井上ひさし、演出・蜷川幸雄、音楽・宇崎竜童。
出演・豪華すぎて書ききれません!
(手抜きスミコで申し訳ありません、ざっと列挙しますと唐沢寿明藤原竜也・篠原良子・夏木マリ・高橋惠子・勝村政信・木場勝巳・毬谷友子西岡徳馬白石加代子 敬称略)

凄い。
この舞台を言い表すのに最も相応しい形容詞はこれに尽きるだろう。
キャストの豪華さ、原作の壮大さ(シェークスピア37作品を盛り込み天保時代の日本・下総の国を描いている)、演出のメリハリ。
どれをとっても凄いというしかない。

猥雑で絢爛で陰惨。
様々な‘欲’が実に旺盛。
人間の醜さ、どぎつさをカラリと極太に描いている。
ザッツ・エンターテインメント、とにかくべらぼうに面白かった!
特に前半部分が素晴らしい。
(この作品は途中休憩を20分はさみ、上映時間が約4時間もある)

どのキャストも巧いし美しいしお見事というほかない。
初めて生で見た藤原竜也篠原涼子もうっとりするほどチャーミング。
しかし最も私が心惹かれたのは白石加代子さま!(思わず様づけ)

TVでドラマや舞台中継やらを見ていた限りでも格の違いを感じさせる役者さんだとは思っていたが。
なんなんだろう、あの存在感・安定感・化け物っぷりは。(勿論最上級の褒め言葉としての化け物)

特に今回の役柄である謎の老婆(霊感のある占い師…というよりも既にこの世のものではない陰陽師のようなもの)が恐ろしいくらいにはまっていて、身も心もこの老婆に捉えられた感覚があった。

彼女が活躍する13幕「焔はごうごう、釜はぐらぐら」が私にとっては最もツボにキターーー!なシーンで、ここを見るためだけにまた大枚をはたいても惜しくないと思うほど。

以下ネタばれあります。

筑波山で寄り合いをしている関八州の老婆(仙人?魔女?)達が闇鍋を作っている。
この世の中の醜いもの・汚れたもの・不吉なもの・呪われたものをぐらぐらと煮え立つ釜に放り込んで楽しい鍋パーティを開催しているわけだ。
争いや流血を好み人間同士がいがみ合い憎み合うのを喜ぶ老婆たち。

ブラックでユーモラスで皮肉に溢れていてもうたまらんの!
気まぐれにとある若い男女(いわばロミオとジュリエットのように敵同士の美男美女、ここでは藤原&篠原)に「浮気草」を搾り恋に落ちるようしかけてみたり、やりたい放題だ。

続く