ミーコよッ、語るわよッ? その5

はい、そこで皆さんに問題でーす。
30人の猿…もとい、新一年生を雨の中30分連れて歩くには何人の大人が必要でしょうかっ?

ミーコでもわかるわよ、「一人じゃ無理!」ってことだけはねッ!
ところが緑コースを引率する先生は一組の担任ただ一人。
出発する前に並ばせてる段階で前へ後ろへ走り回って「無理だわこれは無理だわ…」と呪文のよーに呟いておられた…ところに居合わせたのがスミコってわけよ。

「後ろのほうの子たちが遅れないように見てもらえますかっ?」
「はい、わかりました」

誰だってわかりましたって言うわよねぇあの状況じゃ。
ただ、その先生は切羽詰ってスミコに名前も確認しなかったってのがねぇ。
しかも緑コースってだけでどこまでどうする、とも聞かされてないってのがねぇ。

ともかくスミコは「即席・おかあさん先生」と化してたわよ。

「はいみんなー、前の人についていこうねー」
「歩道からはみだしたら危ないよー」
「傘をちゃんとさそうねー」
「追いかけっこしないでー」
「ハイ信号だよー気をつけてー」
「どんどん渡ってー!」
「そこ、傘振り回さないでー!」

人懐っこい少年がひっきりなしに話しかけてきたり、その隣でドラっちが「なんでママが先生やってんの?」とすねながら聞いてきたり、恐ろしく反抗的な女の子に手を焼いたり…(これはまた改めて書くわッ、すでにネタだわネタッ☆)、それでもスミコは途方に暮れる暇もなく子供たちに声をかけてたわよー。

傘で遊ぶ子が多発したりねっ。
ものすごく歩くのが遅い子がいたりねっ。
そうかと思うずっと走っていこうとする子もいたりねっ。

ははははは。
上野動物園でのおかあさん先生の思い出(疲労度MAX)がスミコの頭をよぎってたようだわよ〜。
担当の先生もバタバタと走っておられたよーだけどっ。

途中途中でお迎えの保護者に会えた子供たちにホッとしながら、集団引率終点あたりまでたどり着いてみると(そこで待っていたお母さん方は7人ほど)、スミコは皆さんに聞かれたらしいのよっ。

「先生が送ってくれるんじゃなかったの?」

…先生…いったいどこで貴方は帰ったの…スミコに任せるの一言もおっさらず…何かあったの…

スミコは呆然としてたわねぇ。
でもそれだけで終わらなかったのよ、これがっ!

ひとり、迷子の迷子の子猫ちゃんがいたわけよッ!!
スミコもミーコもびっくりよッ!!!