スミコの妄想天国 その2

そんな家族のとある一日。

おとーさんとおかーさんがデートをした。
デートといっても子供たちも連れての競馬場デート。
おかーさんと二人きりだと気まずい…なんていうおとーさんは仕方ない人だ、と子供達は思う。
しょうがなく一緒に来た競馬場だったが、パドックを見て子供達も俄然盛り上がり始めた。

末「ねぇおねーちゃんはどの馬にすんの?」
姉「そうね、あの『ダンシングゴロー』なんて美しくて素敵じゃない?」
末「え〜っ?あれ200倍だよぉ?」
姉「でも来たらスゴイわよ♪」
末「まぁそーだけどさぁ。おにーちゃんはどーすんの?」
兄「ん〜?」
末「…おにーちゃんが持ってるの…競馬新聞じゃなくてオートレース新聞…」
兄「んっ?これ違うのか〜」
姉「違うけど、それも面白そうね☆」
兄「うん、モリ・ホワイト選手を応援しようと思ってたんだけど!」

父「おーいおまえたちー、決まったかー?」
母「かーさんはもう一目見てコレ!って思ったのがいるのっ!」
父「ん、どれだ?あの『スターデヨバンダシャ』ってやつか?」
母「あれもいいけどやっぱり『シャイナヒロチャン』が最高!」
父「…」

末「ねぇねぇおねーちゃん。なんでおとーさん涙目になってんの?」
姉「ほっときなさいよ…それよりアンタはどれにするの?」
末「えっとね、『マッドマンツヨシ』ってのがいいかなぁ!」
姉「ふぅん、ちょっと大人しそうじゃない?」
末「でもきっとあーゆーのは爆発する気がする!」
兄「あ、俺決めたー。あそこの『ニンニンゴクー』にしよっと」
姉「ヘンな名前ねぇ。それに馬体がデカすぎない?」
末「デカいってゆーな!」
兄・姉「ナニ怒ってんの?おなかへった?」
末「減ってない!おとーさん!おとーさんてば!おとーさんはどれ?」

父「とーさんはなー、もう最初から名前で決めてる」
母「んふ。わかった。『ファイブトゥルーラブ』でしょ?」
父「…なんでわかった?」
母「アナタの考えてることはわ・か・る・の・よ〜♪」
父「…」

末「ねぇねぇおねーちゃん。僕たちお邪魔だったんじゃない?」
姉「だいじょーぶだいじょーぶ。ほら、もうすぐレース始まるわよっ!」

馬券を握り締め、並んで観戦する5人。

勝ち馬は大穴の『モーソーキングダム』。
残念ながら誰一人として儲からなかったが、五月晴れの家族デートをそれなりに楽しんだすま家であった。

完(?)