吾輩は悩んでいる その1

吾輩は主婦である。名前はスミコ。
最近どうにも気分がすぐれないのは、じめじめした天気の所為も多分にあるがそれだけではない。

ひとつは先週末の出来事が原因だ。
家人が横浜周遊の格安なる乗船券を入手したというので、七夕の夜に息子と三人で出かけたのである。
途中ややスッタモンダもあったが、周遊は快適かつ饗された料理も美味とあって家族の良き思い出となった。
…のではあるが。

ついつい気分が良くなり洋酒を飲み過ぎたのがいけなかった。
帰宅後に友人と約定していたことがあったというのに、吾輩は早々と床に入り寝てしまったのである。

翌日、激しい自己嫌悪が吾輩を襲った。
これぞ自業自得である、馬鹿者であることは自覚していたがここまで情けない人間だったとは…。
これこそオタンチンパレヲロガスである…。

友人にこの不始末をどう詫びたらよいのだろうか。
まったくもって申し訳なく心苦しく、謝罪の電信文はしたためたものの落ち着かない。

心優しき友人はさらりと受け流してくれたが、自責の念はなかなか消えず。
これはもう、今後の行いをしかとせねば大切な友人を失ってしまうことになりかねない。
自戒せよ、反省せよ、猛省せよ、吾輩!

さらに9日の月曜にはこんなことがあった。
いつもどおり元気に登校した息子であったのに「何度も吐いて体調が悪いので迎えに来られたし」という電話が学校からかかってきたのだ。

元々吐き易い体質の息子だが吐いてしまえばケロリとするのが通常で、すぐに快復しないということは風邪でも引いたのか、或いは週末に少しく睡眠時間が短かったのが良くなかったのか…等と考えつつ学校へ向かった。

息子は保健室で青い顔をしていた。
胃の中の物はあらかた戻してしまい、仕舞いには吾輩の目の前で胃液まで吐いて辛そうにしているのがなんとも痛々しい。

すぐに医者に連れて行く。
かかりつけのS小児科は間の悪いことに非常に混み合っていた。
プール熱、溶連菌、喘息、帯状疱疹
まるで病気の見本市である、病院なのだからして仕方ないことではあるが。

そんな中ではあったが、息子の顔色がまだ異常に悪いので看護婦さんに頼み奥のベッドを借りることにした。

幸い、20分程すると頬に赤みが戻ってきた。
全身状態も良くなってきているのが素人目にも解る。
ホッとしたのもつかの間、今度は吾輩の身体に異変が起きた。

つづく