いいやつの話。その1

最近ずいぶん調子が悪そうだなぁとは思っていた。
すぐ疲れるししっかり休まないと動けないし、もともと地味な性分に磨きがかかりやや偏屈な印象を受けるようにもなっていた。
でも、いいやつだったんだがなぁ。
流行なんてまったく気にしない筋の通ったやつだったんだがなぁ。

約5年半の付き合いだったか?
ついに今日、逝ってしまった…愛しのツーカーくん。
ありがとうよ、ツーカーくん。
(携帯を擬人化するところと長期にわたって一台を使用し続けるところが誰かに似ている…。)

しかしよりにもよって今日…(拙者、20日が誕生日でがんす)。
いや別にいいけれども。
考えようによっては今日まで必死で頑張ってくれたとも言えるかもしれん。
ドラ(息子・仮名)が「お墓つくらなきゃね!」とナデナデしてくれたし、きっと本望だったろうツーカーくん。

大将(夫・仮名)は昨夜から泊りがけの仕事に出かけてしまい、携帯も壊れるし転んでぶつけたところがいまだに痛むし(寒いと痛みが増すらしい…今日は大寒…ひぃぃ…)冴えない誕生日だなぁなどと思ったが、ドラのおかげでささやかながら幸せな気分を味わうこともできた。

休みの日だというのに早朝から一人で起きて机に向かってせっせと何かを書いているドラ。
一時間以上脇目も振らず書き続けたあと「できた!ママおはよー!」と寝ぼけまなこのダメ母を起こしに来た。

見ると、ドラの十八番・おさかなくんシリーズのスペシャル号であった。
(おさかなくんシリーズというのは、ドラがいつからか書き始めた漫画のような絵本のような童話のようなポエムのような、実に判読が難しい字と絵がギュッと詰まった作品で、すでにシリーズ53まで到達している代物。一つ一つの話はごく短くワケワカメなんだが、それでもよくまぁそこまで続いているもんだと感心する。)
誕生日プレゼントに手作りの本を若いオトコからもらえるなんて、滅多にあるもんじゃない。
若いオトコってのが息子だっていいじゃないか!
つーか、息子から以外怖くて欲しくないかもしれんが、とにかく嬉しいじゃないか!
内容はやっぱりワケワカメだったけど、それでも有難いじゃないか!

その上、その若いオトコはお小遣い(お年玉を貯めたもの)から何か買ってあげると言う。
たいして持っていないくせに、その心意気が泣かせるじゃないか。

続く