なんくるないさ〜沖縄旅行記 その12

辺戸岬は太平洋と東シナ海が出会う絶景スポットで、晴れた日には与論島が望める沖縄本島最北端の場所である。
…というガイドブックの一節を読んで俄然行く気になったのは大将であった。

彼は元々、○○で一番…というフレーズに滅法弱い。
これまでも日本一高いところにある温泉、とか本州最北の温泉、とか日本で一番アルカリ濃度が高い温泉、とか聞くと矢も盾も堪らず実地検分してきた男なのだ。
だから「最北端」という響きにグッときてしまったのであろう、しかも「絶景」のおまけつき、やおら地図を取り出して「行くぞ決めたぞ待ってろよ」ってな勢いであった。
(辺戸岬にゃ温泉はないんだけども。)

本部半島を離れてやんばる地区に入ると、海はより一層透明度を増しエメラルド色に輝いている。
岬までは海沿いの一本道、海の碧・空の青を全身で吸収しながらのドライブが快適でなかろうはずがない。
いやぁ綺麗だ、こりゃぁ素晴らしい…と絶賛するうちにほどなく目的地に到着した。
車を止めて遊歩道をしばらく散策。
ゴツゴツした岩場の先には、与論島との友好を記念したやんばるくいなの像と本土復帰闘争の石碑があった。

今回の沖縄家族旅行はリゾート気分を求めるものであり、沖縄の歴史や戦争のこと、米軍基地のことなどは敢えて頭に浮かべないようにしていたのだが、この場所に立つとやはり何かズシリとしたものが胸に去来した。
本来ならばもっとよく歴史を学び、現在過去未来を噛みしめながら立つべき場所なのに…と思うと申し訳なくなり心持ち足早に駐車場へ戻った。
少し曇り空となって与論島を望めなかったことが幾ばくかの罪滅ぼしのような気がして、中途半端はいかんなぁと反省した。
いやしかし、沖縄の地は懐が深い。
かように中途半端なスミコにもやんばるくいなを見せてくれた。

当初は岬から東海岸に折り返そうと計画していたのだが、この時点で私たちは本日のランチをどうするかという大問題に直面していた。(さっきの申し訳なさとか反省はどうしたー!)
何事も食中心に考えるのが我が家の特徴で、東海岸に向かうとあまりレストランの類がなさそうだから来た道を戻ろうぜ!と素早く軌道修正。
大将がガイドブックで見つけた「前田食堂」に是非行きたいと主張する。
沖縄そばもあるよと聞いてドラは二つ返事(変われば変わるもんだ)。
ハラヘリスミコも異議なしー。

続く