「薮原検校」を観た

先日シアターコクーンにて、井上ひさし作・蜷川幸雄演出&宇崎竜童音楽の薮原検校(やぶはらけんぎょう)を観た。
出演は古田新太・田中裕子・段田安則六平直政・梅沢昌代・山本龍二・神保共子・松田洋治景山仁美・壤 晴彦。

ひとことで言うと役者ってスゲー(ひとことすぎる…)。
もうひとこと言うなら原作をちょっと読んでみたい(ちょっとかよ)。
更に言うなら今回の演出と音楽はどうかと思う(うわーなにさまー)。

作・演出・音楽がまったく同じ組み合わせだった「天保十二年のシェークスピア」の方が作品全体としては余程好きだ。
好きの嫌いので片付けては身も蓋もないが、ラストの処刑シーンが毒々しすぎて、そのくせ妙に軽薄で何ともアンバランス。
それが蜷川さんの狙いなんだろうけどどうもなー。
映画「模倣犯」の爆発シーンじゃあるまいしなー。

せめて今回は音楽を他の人にすればそれだけでも印象が変わったと思う。
あまりにも天保と同じニオイだった。
それが単純につまらないと言うのではない。
ニオイは同じでも華やかさや多彩さは天保の方が遥かにあったので、(それは作品の内容に左右されているので仕方ないかもしれないが)観ている方としては二番煎じはやはり味が落ちるわね…と感じてしまうのだと思う。

しかし、役者さんたちは物凄く良かった。
‘早物語’を語る古田新太の殺気だった集中力、出番は多くないのに劇場狭しと充満しむせ返るような田中裕子の圧倒的な色気、陰に陽に巧妙に実直に変幻自在な段田安則の底知れぬ演技力。
それらだけでも観る価値は十二分にあるというもの。
陰惨なストーリーにブラックユーモアをまぶした喜悲劇の醍醐味は、役者さんたちの力量あってこそだと再認識した。

この日、大将(夫・仮名)とドラ(息子・仮名)は久しぶりの木更津に出かけた。
きーさーらーづー 朝は潮干狩り〜♪である。
晴天のもと大量にあさりを捕って大汗をかき、温泉に入って帰宅した二人は、私が渋谷から戻った時刻には既に爆睡していた。

テーブルにはこんなメモが。
「ママへ
あさりいっぱいとれたよ。どうするの。ぎょうざをかったよ。2つのこってるよ。パパがいっぱいぎょうざをたべて2こになったよ。ドラより」
「ママへ
ドラがぎょうざをいっぱいたべたよ。だから2つしか残ってないよ。パパより」

さて真実やいかに。
残りもの餃子はうまかった。
謝々。