さーよーならー夏の日ー

日暮れが早くなり朝夕の空気も冷たく感じられ、もう秋ね…と思っていたらどっこい今年の夏は粘っている。
先週末などは連日30度を越え、扇風機をしまうタイミングが難しい。

しかし暑くても9月はやっぱり秋。
なんてったって夏休みが終わったんだから秋さ。
今月末にはドラ(息子・仮名)の小学校で運動会もある。
運動会が終われば10月、その頃には本格的な秋が訪れるだろう。

我が家で今年、夏の終わりを最も感じた出来事はカブ曽根(カブト虫♀)が死んでしまったことだ。
うちに来た当初はカブ(♂)よりも活発で食欲旺盛だったのに、地道に力を蓄えたカブが途中から圧倒的優位に立ち、カブ曽根を見れば大きな角で投げ飛ばすようになった。
だから餌を食べるのもカブの寝ている間にコソコソ…という状態だったカブ曽根は、それでもしたたかに生きていたのだが8月の終わりごろからめっきり元気がなくなってしまった。
虫全般が苦手な私であるが飼っていればそれなりに情が湧き、カブ曽根の容態が気にかかった。
ヨワヨワなカブ曽根をつかまえてカブが交尾を迫るのを腹立たしく思ったり(本能だから仕方ないっすけどねー)、昆虫ゼリーを入れても食べようとしなくなった彼女に心を痛めたりもした。
9月初旬のとある日、カブ曽根はぽっくり逝ってしまった。
亡骸の周りをカブがうろうろしていたのが、どうにも哀れであった。

しかしエライもんで、カブ曽根はちゃんと子孫を残していた。
何匹いるのかまだよくわからないが、少なくとも1〜2匹の幼虫がカブパパに見守られ蠢いている。
元気に育てよ、カブジュニア。
そしてカブパパもカブママの分まで長生きしろよー。

あんなに煩かった蝉の声はもう聞こえず、夜になると秋の虫たちが大合唱している。
季節は確実に巡るもの。
さよならだけが人生だ、誰しも最期はいずれやってくる。
しかしそれまでは幾つになっても新しい出会いがあり再会もある。

4年間姫路にいた親友のタルーラ(仮名・日本人女性)が、この度ダンナさんの転勤で東京に戻ってきた。
高校生の時に出会ってからいったい幾つの季節が巡ったんだかもうよくわからない。
とにかく再会を祝して近々乾杯をせねば。
昔話もバカ話もどんよりぐったりな話も幾年月だ。

この先、いったいあと幾年月。
日々を大事にせねば…と思う秋のはしり。