ドルチェ・カンタービレ

寒い。
雪の予報は外れたものの、かなり寒い。
おまけに玉姫様降臨(?)中なので、手負いの猫のようにこたつにうずくまるスミコ…ではあるが、こんな状態だったために今朝偶然ケーブルテレビで「ミュージック・オブ・ハート」を観られたのはようござった。

この映画、製作は1999年らしいからもう10年前のものか…。
存在は知っていたけど観る機会に恵まれず見逃していた作品のひとつ。

ヴァイオリン教師役である主演のメリル・ストリープがやっぱり巧くて、抜群の安定感である。
生徒たちをキツイ口調で叱る姿も、久しぶりのデートに舞い上がる姿も、離婚に至ったあらましを息子たちに打ち明ける姿も、整然とした美とはほど遠い(どころか、どちらかと言えば滑稽ですらある)のに、芯が歪んでいないからどんどん美しくみえてくる。
彼女だけでなく息子たちや生徒たちにとってさえも甘くない日常だからこそ、音楽の響きが甘く胸を打つ。
いわんやカーネギーホールのシーンをや…。

音楽をテーマにした映画には好きなものが多いが、またひとついい映画に出会えた。
子どもが成長する上で音楽は本当に大事だと思う。
うちのドラ(息子・仮名)がたまたま自分から「ピアノを習いたい」と言い出してくれたことを、改めて感謝したいような気持になった。
自分自身は聴くのが好きなだけで「参加型」にはなりきれなかった音楽。
ピアノは幼少期に一年くらいかじっただけ、大学時代に音楽サークルに属してバンドなんてものもやってはみたけど、所詮数年間のお遊びだったし。

ドラがこの先どのくらいピアノを続けるのかはわからない。
本人の気持ちさえ途切れなければ、ずっとやっていてほしい。
(なんて、ヤマハに通い始めてまだ二年にも満たないのに先々のことを考えても仕方ないか。)

最近ドラが習っている曲はブルグミュラーの「牧歌」。
この曲は始まりの部分にdolce cantabile(ドルチェ・カンタービレ)と記してある。
その横にK先生が美しい文字で(やさしくうたうように)と書き込んでくださっている。
私はそれらの文字を見ただけでうっとりとした気持ちになる。

家や学校では得られないなにかを、ドラはきっとK先生から、そしてピアノの音色からたくさん贈られるだろう。

甘くはない人生だからこそ、ドルチェ・カンタービレを感じとりアウトプットできる人になっておくれ、もうすぐ9歳のドラくんよ。