母のこと(その18)

月命日だもんで張り切って?沢山更新。
その16からお読み頂ければ幸いです。

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台の上に花立てはあったが、まだそこには花を活けていず当然水も入っていなかった。
周りにも水分などない。

「…お母さん?」
「…お母さんだね」

ストンと腑に落ちる。
なんでそんなことを自然に感じられたのかわからないが、それは母のいたずらにしか思えなかった。

ともあれ姉宅に向かおうと、3人で諸々を持ち車に乗りこむ。
しばらく走っていると後部座席でリン(お仏壇などにある小型の鐘)を鳴らす音がする。
仏具を抱えて座っている父が鳴らしたのかと思っていたら父が言う。

「今のはなんだ?」
「は?」
「ちーん、ちーん、って2回鳴っただろ」
「お父さんが鳴らしたんじゃないの?」
「俺は鳴らさない。いじってもいない」
「ええー」

そして3人で出した答えは「お母さんだよ…」だった。
真面目なくせにイタズラ好きだった母らしい、と笑う。

姉宅で寛ぎながら台の水とリンの話をする。
そういうことって本当にあるんだね…と話すうち、そういえば他にもこんなことが、僕もあんなことが、といろいろ出てくる。

初七日の法要の時に濃厚な気配を感じたことを私が話すと、姉も「そうそう!私あのとき振り向いちゃったもん」と言う。
姉妹揃って同じことをしていたらしい。
そして大将までこんなことを言い出した。

「あのときお経を聞いて眠くなっちゃって、ちょっとウトウトしてた。そしたら横でアンタ(私のこと)肩を叩いたよね?」
「私はそんなことしてないよ、寝てたのも知らない」
「うっそー」

きっと母だ。
ちょっとまーちゃん、私のためにお経を唱えてくださってるのよ、ほら起きて起きて!
…そんなところだ。

あの場に濃い気配があったことは義兄も感じていた。
(父と甥っ子二人とドラはそこでは感じなかったようだ。)

精進落としでUちゃんがバクバク食べていたことも、大将は不思議に思ったらしい。

「Uくんって普段あんな食べ方しますか?」と姉に聞いている。
「いや、そういえばちょっと異常だったかも」
「そうでしょ?目の前にちゃんと食べるものがあるのに、お皿を次々にとってきてましたよね…あれはお義母さんだ…」

体調を崩していたUちゃんを心配して母が食べさせたのかも。
一同笑いつつ納得。

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