天才ネタは続く その1

今日の朝刊はどこもかしこもイチローだった。
記事もイチロー、広告もイチロー天声人語も社説もイチロー
史上初の9年連続200安打、だもんなぁ。
9月14日はイチロー記念日(現地時間だと13日か)、ってことにしても誰も文句は言わないんじゃないかというほどの快挙だ。

「凄い」という言葉を抜きには語れない人。
天才ではない、とご本人は仰るけど傍から見れば紛れもなく天才で、まぁそれは「自分とはあまりにもほど遠い存在だから彼を天才と位置付けなければ自分は何なんだ!」と立つ瀬がなくなる気分になるからかもしれない。

何にしても素晴らしい。
今年の3月、東京ドーム(WBC日本対韓国)でイチローの真骨頂のような3塁線へのバントを生で見られたことを改めて感謝する。

昨日のインタビューはかなり饒舌だったようだが、その中で特に私がくすぐられたのはこのコメント。

(まだまだ磨く部分はあるのか、と聞かれて)
「時々崩れる人間性を磨いていきたいですね」と笑顔。

いや、そこはそのままでぜひ。
あれほどの人でも時々崩れる人間性
いいじゃないっすか、そんなところがまた。
あまりにも完全なものはキュートじゃないと思います、イチローさん。
(だから私はスマたちを愛してやまないのだ…と、こんなところでこっそりスマネタ混入。)

さて、天才シリーズ(なんじゃそりゃ)としては早く野田秀樹(とその舞台)についても書きたいところなんだが。
これがねー、難しい。

先日観た「ザ・ダイバー」は難解な作品ではない(と思う)。
登場人物は4人だけ。
大竹しのぶ渡辺いっけい北村有起哉野田秀樹
今と昔(『源氏物語』と『海人』)を行きつ戻りつしながら、不倫から生じた悲劇を核として魂のこと、母性、愛憎、罪と罰…などを容赦なくえぐっていく。
印象的な青い照明で海の底を端的に表現し、そこに潜る女と精神科医の「魂をめぐる手探りの道のり」が描かれる。
息苦しい物語の最後の最後に、精神科医がうっすらと笑みを浮かべるのはうっすらとした(不安定な)救済のイメージだろう。

観ているときも観終わった後も「巧いな」と思った。
作品それ自体と4人の役者さん達は勿論のこと、舞台装置も照明も衣裳も音響も、本当に巧い。
非常に辛い内容だが、それらの巧さにぐいぐいと惹きつけられる。

続く