なにわバタフライ.NVを観た

三谷幸喜作・演出、戸田恵子によるひとり芝居・なにわバタフライ.NV(ニューバージョン)をシアタートラムで観た。
2004年にパルコ劇場で上演されたものを新たに演出しなおして…ということで「NV」がついている。
初演は観られなかったのでどのあたりがどう変化したのかわからなかった、というのが唯一の悔やみどころ。
しかしNVの初日を観られて良かった!
(以下ネタばれあります。)

舞台袖から客席をのぞき、少し照れたような表情で舞台中央に出てくる戸田さん。
戸田恵子です…と頭を下げて、一人芝居の幾つかのパターンを説明。
でも今回のはそういう手法は使わないんです、まぁちょいちょい反則技?は使いますけど、と茶目っ気溢れた笑顔がチャーミング。
私も大変ですけど皆さんも大変ですよ、なんてったって約2時間のお芝居で観るものが私だけ!私だけしか出てきません!と笑わせ、舞台のセットを整えるのも全部ひとりでやらなきゃならないんですと言いながら布を広げたりちゃぶ台を動かしたり。
一列目に座ったお客さんも手伝わせたりして、舞台の上と下の垣根が全くないような気にさせる演出が心憎い。

舞台上の戸田さんは2時間近くをひとりで演じ続けるのだが、「ハイここまでが第一部です〜」だの「ちょっと着替えますね〜」だのコトワリを入れて、「戸田恵子」と「ミヤコ蝶々」の間を行きつ戻りつする。
そのさじ加減が非常にいい!
流石だ、戸田さん&三谷さん!
上質の喜劇を作る人と演じる人が、上質の時間を贈って下さった。
ひたすら有難い。

蝶々さんは昔TVで見ていたし、その生涯をうっすらとは知っていたけれども、こんな形で「女の一生」を体感させられると、記憶に残る蝶々さんのとぼけた丸っこい笑顔が鮮明に浮かび上がってくる。
昨日観た舞台をいまゆるりと思い出すと、戸田さんと蝶々さんの二人芝居だったように思えてくる。
それだけの力量なんだな、やっぱり凄いな戸田さん!

おとうちゃん、にいやん、ぼん、師匠、ぼくちゃん…蝶々さんの人生に深く影響した男性たちを、それぞれ大きさも素材もバラバラのフレーム(写真または絵画の額縁)で表すというアイディアがまた素晴らしい。
鏡台の使い方も巧い!最後の方はズルい!(絶賛)

忘れられない舞台となりました、これだからミタニン好きはやめられん!
芋焼酎お湯割りで乾杯!