K2のKは「奇跡」と「緊張」の頭文字? その3

キャン待ち10番以降となり「不可能」と言われてもすぐに諦められるものではなく(そりゃそうだよ!)、「それでもいいです」と並び続ける方は多数おられた。

勿論すぐに帰る人々も。
自然、行列は縮んだわけだが新しいグラデーションが出来上がっていた。

すなわち「当日券を確実に買える人々」と「キャンセル待ちとなった人々」と「可能性ゼロと呼ばれた人々」である。
言い換えるならば「暖色系の集団」と「グレーの集団」と「黒の集団」である。

そして私は限りなく黒に近いグレーである。
厳しいのは、このグラデーションがついたあとも延々並ばなければならないこと。

すぐに当日券の販売とはならないのだ。
開演一時間前まで並ばねばならないのだ、こんな宙ぶらりんな状態で!

宙ぶらりんというよりむしろ、ほとんど落っこちている崖の端っこ。

係りの方が「通常より1時間早めてなんとか12時過ぎに販売を始めたいと思っております」と言ってくださる。

しかし続いて「キャンセル待ちの方は、開演5分前からの販売でございます」と。

…そ、そうよね。
それがキャンセル待ちっつーもんよね。

うあああああああ!!
かみさまおねがいです、なんとかみたいのです、みせてください、おたのもうしますうううううううう!!

叫びだしたい気持ちをこらえ本を読もうとするがまともに読めるはずもない。

すぐ後ろの、キャン待ち9番と言われた女性とヒソヒソ話す。

「無理ですかね?」
「ちょっと厳しいですよね…」
「でも可能性ゼロではないし…」
「…祈りましょう」
「…祈りましょう」

特殊な状況下で最も似通った運命(大げさ)を背負ったもの同士、意気投合というのか傷のなめ合いというのか、とにかく急速に支え合う関係となった私たちであった。

様々な雰囲気の方がおられる中、彼女はとても好感のもてるタイプだったこともあり、人見知りの私にしては珍しく「ナンパ」でもした気分であった。

聞けば10年来の剛ファンで、この作品も初日とその翌々日の回を観たらしい。
それでも芝居は変化するから、どうしてももう一度見たくて…とのこと。
お芝居のこと、つよぽんのこと、スマのこと、堤さんのこと、今年のライブのこと、話すネタ(ネタ?)は沢山ある。

彼女のおかげでそれまでより時間がぐっと早く過ぎ、いよいよ当日券の販売となった…。

続く