負けるのは美しく

日記タイトルは児玉清さんの著書名です。

数年前に、本屋で見かけて「児玉さん、どんな本を書いてらっしゃるのかな」と思いパラパラとめくって衝撃を受けた。
その第5章が「天国へ逝った娘」となっていたからだ。

児玉清さんのお嬢さん、奈央子さんは小学校のクラスメートだったのだ。
といっても小1の一年間のみで、私は2年生になるとき転校してしまいそれきりだったので大した記憶は残っていない。
たった一人だけ、当時のクラスメートといまだに連絡を取り合っているけれど(学生時代も細々と文通を続けていた)、こういう関係の方が珍しいだろう。

僅かに残る奈央子さんの印象は「大きくて元気」。
父親参観日で学校を訪れた際に、同じ教室に児玉さんがおられたことを帰宅した父がやや興奮した面持ちで話していたことはハッキリ覚えている。

それ以来ずっと、TVで児玉さんを見るたびに何とも言えぬ親しみを感じていた。
穏やかで知的な笑顔、スマートで紳士的な物腰、たまに垣間見えるお茶目な部分も含めて「ファン」だった。
HEROでも鹿男でも龍馬伝でも、押しつけがましくない存在感と懐の深さが作品をどっしりと安定させていたと思う。
SMAPとの絡みも少なくなかったし、今後ももっと絡んでいただきたかったのに。

「負けるのは美しく」で奈央子さんの壮絶な闘病生活を初めて知り、娘に先立たれた父親の癒えることのない悲しみにも触れ涙が止まらなかった。
奈央子さんにはドラ(息子・仮名)より二つ年上の男の子がいて、彼女が亡くなった時はまだたった4歳だった…。

ご冥福をお祈りしながら、もう一度読ませていただこう。
児玉さん、天国できっともう奈央子さんに逢えたでしょうね。
良い作品を沢山、どうもありがとうございました。