タイトルつけがたし

「大人になることは自分の至らぬ点を認め自身を赦すことだ。
現実には人生は困難だがそれでも折り合いをつけることを学ぶべきなのです。
とはいえ自分自身に完璧を求めてはいけません。
自身の至らない点を受け容れる術を学ぶこと。
それが大人になるうえで重要なのです。」

再放送でやっと見られた番組の、カズオ・イシグロの言葉で最も印象に残ったものを書きとめておく。

彼の作品は「日の名残り」しか読んでいない。
「わたしを離さないで」を是非読もうと思った。

完璧など端から求めようとも思っておらず、自分を赦す…というよりは甘やかすことは得意な私だが、それでも落ち込むときは落ち込む。

実は日曜の午前中に芹沢さん(鴨・仮名)がやってきた。
金曜朝にベランダの片隅に産卵してすぐに飛び立ってしまったきり、もう来ないのかもしれないと思っていたが翌々日に戻ってきたのだ。

そして当然のように卵を探し始めた。
「もうないんだよ、ごめんね。ここで産んでも育てられないよ、今度はちゃんとしたところに産んでちゃんと温めて育てなさい。」

通じないとは思いながらも、一生懸命話しかけた。

円らな瞳で時々こちらを見ながら(ねぇどこにあるの?とでも問いかけるように首をかしげて)あちらこちら探す芹沢さん。

見ていて胸が詰まった。
何度も同じ場所をうろうろし(すっかり片付けてしまったので何もないのは一目瞭然なのに)諦めきれない様子。

30分くらいベランダを探しまくり、納得できない素振りで水鳥公園の方へ飛んで行った。

しかしすぐにまた戻ってきて、再び捜索を開始(泣)。

もはや半狂乱の様相を呈してきてエアコンの室外機の後ろにまで潜り込もうとする。
狭くて危ないから、わざわざ障害物を置いておいたのにそれを無理やり(凄い力で)どけてまで潜ってしまった。

狭い空間に入ることはなんとかできても、出てくるのが大変そうでバタバタ焦っているのでこちらも焦った。
怪我でもしたら可哀想すぎる。

やっとの思いで抜け出したタイミングで、大将(夫・仮名)がわざと大きな音を立て脅かした。

ここは安全な場所ではない。
どこを探してももう卵はない。
産んで育てられるような環境ではない。

それをわかってもらうために。

この日、芹沢さんを初めて見た大将はドラ(息子・仮名)と一緒に「可愛いねぇ!本当に来るんだね、綺麗だねぇ!」と最初は目を細めていた。

そして何度も「アフラック!」と話しかけて?いた…。(CMの見過ぎです)

しかしこの状況はもはやそんな牧歌的なものではなかった。
仕方なく、不本意ながら、やむを得ず、脅かして飛び立たせるしかなかった(と今も思う)。

とても可哀想なことをした。
頭では「しょうがない」と思っても、胸が痛い。

冒頭のイシグロ氏の言葉がこんな痛みにも沁みてくる。

至らない人間を赦して下さい、芹沢さん。
そしてあなたも、恐らく初めてのことでまったく色々なことがわかっておらず、不適当なところで産卵ししかも温めないというミスをしたけれど、この経験を受け容れて大人になって下さい。

元気でいてね。
きっともう、二度と会えないと思うけど。

私が落ち込んでいる原因は芹沢さんのことだけではなく、他にもあるのだがそれについては今は書かない。
落ち込んでいても食べているし寝ているので、心配はございません。

ミタニンと小林聡美さんの離婚にもかなりショックを受けたが、月9やらスマスマやらカスミンやらを見て元気が出たし。

スマが9月に中国でチャリティライブという一報を耳にした瞬間は複雑な気持ちになった。
しかしそれも、仲睦まじく肩寄せ合って歌っている姿を見たら帳消しに。
(ゴロちゃんが舞台で忙しくあの場に居なかったことが残念!)
(もうすぐ逢いに行くわよーゴロちゃん!)

中国に行くと決まったならば、今度こそきっちりと行ってらっしゃい。
三度目の正直だ。
(三度目だったよね?なんだかよくわからんけども。)
無事に、とにかく無事に帰ってきて国内でもちゃーんとスマコンやってちょうだい。

そうやけん、こっちも元気でおらんとー!


小一時間後の追記。

冷たい雨の降る中、芹沢さんを見た。
最初は少し離れた上空を飛んでいるのを偶然見つけ、元気で良かったと胸をなでおろした。
しばらくしたらベランダの手すりに来てとまった!
時々ベランダの中を伺うのでその都度ダメ!と声をかけたが、10分くらいゆっくり雨宿りしていた。

「元気でね、もう行きなさい!」と声をかけたら飛んで行った。

また来るかもしれんが(苦笑)。

心なしか今日は、日曜のような悲壮感は漂っていなかった。
元気で生きていけ、野鳥らしく!