「奇跡」を観た

昨日は「千葉県民の日」でドラ(息子・仮名)は学校が休み。
(あたしゃ東京都民も埼玉県民も福岡県民もやったけど、県民の日がいつかも知らなければ休校になった記憶もないぜよ。なんでやねん、千葉?)

お出掛け好きのドラは前の週から当然のように「どこに行くー?」とウキウキ顔。
出費は控えめにしたい、激混みは避けたい、されど息子も私もある程度楽しめるようにしたい…と思案した結果は。

科学館→映画館という当たり障りのないコース。
何度も行ったことのある「きぼーる」ではなくお初の「現代産業科学館」に決めたのは、隣接する映画館で観たい映画「奇跡」が上映されているとわかったから。
しかしちょっと舐めていた…県民の日、侮れん。
現代産業科学館は10時前から長蛇の列であった(泣)。
似たような親子連れがうじゃうじゃいて何をするにも並ぶはめに…ま、ディズニーランドほどではないからいいんだが。
ドラは「化石(三葉虫)のレプリカ」を作ったり「水の踊り」や「人力発電」などを体験してご満悦。
私はとにかく人ごみから早く脱出したい一心(病的なほどに人混みがダメ…スマコン以外ダメ…スマコン…スマコン←専修念仏?)。

ランチタイムが近づき‘マ’のつくハンバーガーと‘ミ’のつくドーナツを誘い文句にドラを科学館から引き離す悪母スミコであった。
これで映画も混んでたらいやだなぁ、水曜レディースデーだしなぁ、などと今更なことを考えつつ簡単ランチを済ませ映画館窓口へ。
げ、ここも長蛇の列!…とクラクラしたが「奇跡」は残席余裕あります、の表示が出ていた。
大変嬉しかった(是枝監督ごめんなさい)。
‘パ’のつく海賊映画や‘も’のつく邦画に人気集中しているようだった。

他作品予告で「こち亀」の両さん@すぃんごと「ステキな金縛り」のつよぽん(一瞬映った☆)を観られてホクホク。

さて、肝心の「奇跡」である。
是枝監督作品は「誰も知らない」「歩いても歩いても」の二本しか観ていないが、その二作品がどちらもしっかりと心に残っているので(詳細を頭で‘覚えている’のではなくて、全体を体内に‘留めている’感じ)、今回も間違いないだろうと思っていた。
しかも九州新幹線がモチーフになっている!
テツのドラと一緒に観るならこれしかないじゃん、と確信めいたものもあった。

(以下ネタばれちょっとだけあります)

果たして「奇跡」は、素晴らしく淡々としていて素晴らしく日常的で、なんら奇を衒わず衝撃的事件も起こらず、しかしちょうどよい温もりと風に包まれた佳い作品であった。
好きな役者さんが沢山出ている。
好きな台詞やシーンが沢山ある。
だけど万人にお勧めできるものではないかもしれない。
(本当に地味な映画です。でも私は大好き。)

鉄道のシーンは思ったほど多くなく、子供向けに特化した映画でもないからドラにとっては退屈かも?…と途中で少し気になったが、上映中何度もケタケタ笑っていたし、観終わって開口一番「面白かったね!」と言ってくれたので安心した。
この手の映画の良さを分かち合える男子になってくれて嬉しいよ、あたしゃ。

舞台が主に福岡と鹿児島…という点から、すでに個人的にはポイント加算(笑、ポイントってなに)。
福岡は長く住んだ場所だし今も父と姉家族がいる。
鹿児島は父の故郷である。
だから桜島もかるかんも、私にとってはそれこそ体内に少量であっても留まっているものだし、福岡の風景や方言はかなり大量に留まっている。
だけどそれだけではない。
この映画に出てくる家族、兄弟、友達、仲間、先生、広い意味での隣人たち。
すべての人たちがじわーっといいのだ。
現実にはもっとこうだろう、そんなふうにはいかんだろう、なんて場面もあるにはあるが、ドキュメンタリーじゃないしね。

あー、かるかん食べたい(そんな感想やめなはれ)。
猫まっしぐら、のカルカンじゃないっすよ。

「誰も知らない」のテーマの重さや、「歩いても歩いても」の母親(樹木希林さんが演じた)が内包する狂気に比べれば、「奇跡」の味わいはまさに(まさに、という言葉を使うのは作品と関係しているからです)‘ほんのり’であった。

一週間のうちに「ブラック・スワン」と「奇跡」を観るなんて、振り幅が広すぎるかも。

色々あって改めて感じる、映画や芝居を観られる幸せ。
ありがたや。