雲黒斎家元を偲んで

今日から師走。
今年もやっぱり12月はやってきた…当たり前…いや、当たり前ではない。
今年ほどそれが当たり前ではないと思った年もない2011年12月1日・寒い朝である。

先月の21日に立川談志師匠がお亡くなりになった。
私には師匠を語れるほどの知識は全くないが、それでも語りたくなるような‘引っ掛かり’を沢山残して下さった方だ。

ご自分でつけなさったという戒名もそのひとつ。
立川雲黒斎家元勝手居士…雲黒斎の部分を音読みしたときの衝撃(笑撃?)は「だんしがしんだ」の回文とセットで心に刻まれた。
最期をもネタにして笑い飛ばすとはお見事なことこの上ない…。

以前この愚日記でも確か一度だけ談志師匠のことを書いたことがある。
「上品とは欲望に対して動作がスローモーな奴」という師匠のお言葉にいたく感銘を受けて、色んな事をガンガン忘れる私にしては珍しく記憶に留まっている。

そうだ、何事にもガツガツするのは上品じゃない!
スマコン行きたいとかもう一回行きたいとか何度でも行きたいとか!(自分のこと)(戒めを心の奥底に)(奥底でいいのか)…上品ではないとわかっていてもやっちゃうけどね、それが業ってやつでさぁね。
そこで出てくるのが恐らく最も有名な?金言「落語とは人間の業の肯定である」でさぁね!

あと、個人的に好きなのが「酒は人間を悪くするものではなく、人間がいかにダメなものかを教えてくれるものである」っていうお言葉ですな!
あまりにも思い当たり過ぎて膝叩き過ぎて痣になる勢いですな!

お酒が大好きだった師匠の居残り佐平次、お酒を飲む仕草がたまらんかったなぁ。
あれ見て呑めるね、うん。

爆門の太田に向かって「田中を切るな。この男は日本の基準だ」って仰ったという話も大好きだ。
そして「俺の未練は太田に残していきたいね」って…これ以上の愛情表現があるかな…託された人も幸せだけど、大切に思う人間に未練を託して逝ける人もまた幸せだと思う。
そうやって、亡くなった人は生き続けていく。

師匠の落語を一度も生で聞いたことがない私なんざが勝手なことほざいてすいませんん、雲黒斎家元。
でも「勝手に生きよう」も師匠の名言のひとつ。

大いに肯定された気持ちでこれからも酒を飲んでスマに執着して生きていく。