勘三郎さんが
亡くなってしまった。
朝、起きてTVでいつものニュースを聞きながら家事をしていたら突然流れてきた訃報。
まさか。
入院中だということは知っていたけれども。
この数年、なんだか体調がすぐれないことも知っていたけれども。
まさか、まさか57歳という若さで逝ってしまわれるとは…。
十八代目 中村勘三郎さんの舞台は、襲名前の勘九郎さんのときから何度となく拝見させていただいた。
歌舞伎に限らず様々な演出家や脚本家によるお芝居の場で、並みいる役者さんの中にあっても必ず「センター」で燦然と輝いておられた。
そう、まさに彼は「センター」が似合う大スターだった。
伝統と格式を重んじる歌舞伎界の「センター」は、重鎮であるはずなのにとても軽々と色んな壁を超え、色んな人を虜にし、舞台上では迫力ある存在なのにカーテンコールでは愛嬌たっぷりの笑顔を振りまいてくれる人だった。
舞台のみならずTVや映画でも大活躍だったから、勘三郎さんの出演作品をこれまで一体どのくらい自分が見てきたのか数え切れないほど…。
この愚日記でも何回か勘三郎さん(或いは勘九郎さん)について触れたはずだと検索したら、幾つかの該当記事がみつかったので読み返した。
その中にあった鶴瓶師匠とのエピソードを再掲する。
(2005年3月3日の記事)
襲名する直前の中村勘三郎さんが生出演していた番組をたまたま見たら、べー師匠がビデオレターを寄せていた。
「貴方(勘三郎さんのこと)ねー、酔っ払って『愛してるよー!頼むから俺より先に死なないでくれー!』って泣きながら留守番電話に録音するのはやめてください」と笑っていた。
(そのあと司会者には「かける相手を間違ったんじゃないですか?」と突っ込まれていたが、「いえ、そうじゃないんですよ…ホントに大好きでねー、鶴瓶さん…」と照れ笑いする勘九郎さんでありました。)
(以上、過去日記より抜粋)
多くの方々が、訃報を知りショックを受け悲しみに沈んでおられるだろう。
勘三郎さんからこんなに愛されていたベー師匠もきっと「俺より先に死なないで〜、なんて酔って言うてたけど、いくらなんでもアンタ早すぎるやろ」って嘆いているに違いない…。
今はなぜか、2009年冬「野田版・鼠小僧」での三太が思いだされてならない。
雪の舞うラストシーンで「お天道様は見てござる」と見得を切る三太の姿と声…。
これからももっともっと、勘三郎さんのお芝居を見たかった。
大竹さんや渡辺えりさん、野田さんやさんまさん、べー師匠たちとの楽しい交友関係を、たまにバラエティ番組で披露してもらいたかった。
歌舞伎一家であるご家族に密着した番組も、放送されると何故か毎回毎回見てしまっていたのに…もうそこに、センターにいるべき人がいないなんて…。
まだとても信じられない。
ご冥福をお祈りします…と書かねばならないのに、嘘でしょう?という思いが打ち消せず…。
勿体無いお方を失ってしまいました…。