「歌わせたい男たち」を観た その2

ネタばれあります、特にNさんご注意を!笑

まずはストーリーをご紹介。(やや長いですがご覧にならない方が多数だと思われますので詳細に書きます、ご了承くださいませ。)

とある都立高校の音楽講師になったばかりの仲ミチルは、初めての卒業式を控えて緊張していた。
彼女はそれまで売れないシャンソン歌手をしていたので、歌は得意だがピアノは苦手な上に極度のアガリ性。生徒達からは「ミス・タッチ」とあだ名をつけられているほどド下手なのである。
40代半ばにしてようやく堅気の仕事を見つけたのに、卒業式で伴奏を失敗して式を台無しにしたらどうしよう、首になったらどうしよう…と不安でたまらない。
そのため必死で練習していたのだが焦りと緊張で倒れてしまい、保健室で休むことに。

そこへ花粉症の校長・与田がやってきた。
花粉症の薬を貰いに来たわけなのだがミチルの様子を見て緊急事態を察知。
つまり「今年こそ生伴奏で国歌斉唱を!」の熱望が今まさに崩れさる危機である、くしゃみなんかしている場合ではない!とばかりに花粉症も忘れミチルを励ます。

実はこの高校ではこれまでにも国歌斉唱にまつわる様々な‘事件’が起きていた。
以前の音楽教師はクリスチャンであることを理由に君が代の伴奏を拒否。
不起立教師達もいる。生徒には在日コリアンもいる。

新たな音楽講師を向かえ今年こそは生伴奏!と意気込む校長、日の丸・君が代を熱心に推進する若い英語教師の片桐らは、不起立教師の拝島を今年こそ何とかして国家斉唱と国旗の前で起立させようと目論む。

そんな彼らがとっかえひっかえ保健室に出入りするのでミチルは休まる暇もない。
もともと彼女は「君が代」だろうが「校歌」だろうが、伴奏するというプレッシャーは同等で「できればやらずに済ませたい」「しかしやらなければ職を失う」という矛盾に苦しめられているわけだ。

そこへ「何としても生伴奏」と力の入る与田や片桐、「友人として自分の立場を理解してもらいたい」と願う拝島の真っ向から対立する気持ちに挟まれて更にミチルは追い込まれていく。

養護教諭の按部は傍観者的にその様子を面白がってみているが、不起立教師が出ることによって高校全体が処分の対象になり研修などの罰則を食らうことを恐れ推進派に肩入れしていく。

それぞれの立場と思惑が交錯する中、卒業式の時間が刻々と迫ってくる。

続く